0811

頭が痛くて日付が変わる頃には寝ていた。寝苦しくて5時には起きた。洗濯機がぐるんぐるんと回される音が、ドア越しにくぐもって聞こえた。外はもうすでに明るくなりつつあった。なるべく音を立てないようにして台所へ行ってお茶を飲む。やはり夜明けごろの時間を好きだと思う。いつかこの感覚をうまく言い当てることができるだろうか。

たとえば魚になっていた日のことを思い出せない。暑かったのか寒かったのか、床は固かったか柔らかかったか、昼間だったか夜だったか。

皮脂やら日焼け止めやらでべたべたする顔。懐かしいことばかりを貪って、ずるずると引きずり込まれて蟻地獄さながら、連想として思い出される昔のことは申し訳ないことばかり、自分が醜いことばかり、シャワーに冷水を吐かせる、8月の浴室、大して熱は飛ばない。

この数日のこと、数週間のことが思い出せないのではない。思い出さないだけ、あるいは思い出すほどの何かがなかっただけだ。こうやって腐っていくのだなと、何年も前に座り込んでいたやけに広い幕裏の映像が浮かぶのに追いかけてそういうことを思う。半年間保留にしている詩集、もう買ってしまおうかなあ。