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嫌な夢をよく見る気がする。そういうときに限ってなかなか起きられないのは不思議なことのように思う。誰もいない南の部屋は透明に明るく、どこまでも明るく、青い陰影が揺れるたび、晴れた日の夕方に、部屋の闇が濃く見えたことを思い出す。もう何年も誰も触っていないのだろう地球儀は、埃をかぶって視線の高さに立っている。コートを羽織って外に出る。嘘みたいな快晴、この世に雲も、星も月も初めからなかったみたいな真っ青が細い路地の隙間からもよく見えて、今は嘘なのかもしれないと思った。見たことだけあったコーヒー屋さんに入って、紙のカップに一杯分買う。カレーパンも買う。内容の要約がしやすい小説を読んで、情報として得るものはあったし本に落ち度はないのだけれど何だか虚しい気持ちになった。次は抽象的な本がいい。