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中絶をする夢を見た。

向かう電車、見慣れたはずの駅は改装されたのかまったく見覚えのない姿に変わっていて、外は晴れ、オフィスビルの高い階にその病院はあるみたいだった。途中、1回生のときにだけ親しかった子に鉢合わせる。彼女は真っ当に素晴らしい人生をしている人で、現実通りのちょっとした後ろめたさをたずさえて私は、これから堕ろしに行くのだという話をした。別れて、病院はひどく黄みがかっていて薄暗かった。産むの、産んで中絶するの、という意思があった、死産させることなのかどうかは確かではなく、もはや生かすも殺すも曖昧になっていた。夜、手術台に乗る。何も怖くない悲しくない嬉しくもない。これから病室で数日暮らすのだとだけ考えていた。そういえばこの間生理はきたばかりだったけれど、それでもわたしは妊娠したのだろうか、しかし現にわたしはこうしているじゃないか。ふつっと目が覚める。体をひどく重たく感じた。明かりを消したままの部屋はぼんやりと薄青い。薄く聞こえる雨の音、窓の外はほの明るさに閉じ込められていた。時計を見ても焦らない、寝床を降りる。食卓に残されたフレンチトーストが卵液で透き通ってみえた。


装飾も角も丸みも削り取ってぎりぎりの、透き通って中に意味が豊かに揺らめいているようなことばの使い方ができるようになりたい。外身と中身がまったく同じ材質でのっぺりとできているままにごてごてと飾り立てて物を言うしかないわたしのことばの貧しさ視界の粗さが残念でしかたない。